監視されるユーザと同じように、監視するジェイラーもシフトが決まっています。 シフトの開始時間になっても監視システム(私たちはモニターと呼んでいます)にログインしていないと、利用者の皆さまと同じように、電話がかかってきて怒られます (ユーザの皆さまは5分以内の遅刻はおおめに見ますが、ジェイラーの場合は1秒でも遅刻すると電話がかかります)。

ジェイラーがログインすると次のような画面が現れます。

ユーザが作業をしている場合には、こんな感じになります。

※これは開発環境をつかって私が5人分のユーザの役を務めました。通常のユーザについては、監視画面をこのように外部に公開することはありません。

さて、監視が始まりました。ジェイラーは最大で20人ほどまで同時に監視することになります。同時にすべてのユーザを見渡すことはできないので、数秒ごとに切り替えて確認していきます。 ジェイラーは、割り振られたユーザについては単独で監視することになりますが、心強い見方がいます。怠け者検知システム「LazyAlert」です。

LazyAlertは、スマホの位置を変えるなどして大きな動きが発生した場合には、何らかの注意を要すると判断してジェイラーに警報を発します。 反対にまったく動きがない状態でも、ジェイラーは音声を通じて警告を受けます。

このように、ユーザがサボっているかもしれない状況でLazyAlertは警報を発し、人間の見落としを予防します。 仮に担当ジェイラーが即座に対応しなかった場合には、全ジェイラーに対して警報が拡大されて、速やかな対応を促します(即座に対応しなかったジェイラーはもちろん、叱責の対象です)。 弊社のサービスでは、リアルタイムにサボり検知をすることを重視しているので、LazyAlertが発せられた時点では一刻も早く人間の目で確認する体制を作っています。

LazyAlertプログラムは、その他にも、サボタージュにつながるいくつかの状況で警告を発しますが、ユーザの皆さまの緊張感を維持するため、すべての詳細はご紹介できません。 また、LazyAlertは日々のサービス運用経験と画像処理技術の実験を基にして、改善され続けていますので、皆さまが怠ける余地はありません。

現実にユーザがサボっていると判断した場合には、ジェイラーはまず、「ダイアログ」機能を用います。 利用者の多くは見たことがあると思いますが、画面が赤くなって、セリフが表示されます。 基本的には音声も同時に発生するのですが、Androidでは設定次第、iOSでは残念ながらプログラムの任意のタイミングで音声を発生させることはできません。

たとえば居眠りをしてしまってダイアログを発しても気づかない場合には、電話をかけます。 直接、ジェイラーの肉声でかけるわけではありませんから安心してください。 ユーザの皆さまはプログラムを介して合成音声の電話を受信することになります。 これは、ジェイルの時間をわすれていたり、居眠りをしているユーザには効果抜群でたいへん好評です。 みなさまの電話番号を入力するのは多少抵抗感があるかもしれないですが、自分の怠けもの度合いを考慮した上で、必要だと思う方はぜひ電話番号も登録しておいてください。 ジェイラーにとっても、いざという時にユーザに働きかける頼みの綱です。

使い続けるうちに、いったいぜんたい誰が監視しているのかと疑問に思うことがあるかもしれません。 しかし残念ながら、これは最重要の秘密です。
ユーザの皆さまはうすうす気づいているかもしれませんが、表示される名前にも偽名が使われています。 この方針をとっているのは、弊社がこのアプリの試験段階でさまざまに試行錯誤した結果、「だれが監視しているかわからない」状態が一番緊張感が増すという結論に至ったからです。 皆様のことを思って、だれが監視しているかは秘密にしているわけですから、どうか無用の詮索はなさらずに、今後も作業に集中していただきたいと考えております。